Remodel
「寒くなってきたー!」
「そーですねー!」
そうは言いながらも腹を出したまま過ごす軍師だ。
あれか。つわものというやつか。兵。猛者。
「寒くないんですか」
「んー、凌統殿と一緒ですから平気です!」
平気な理由がよくわからない。
けれど軍師がそういうのだから、きっとそうなのだろう。
きっと俺には何か陸遜にとって暖をとれる何かが内蔵されているに違いない。
そんな装備をつけた覚えもつけられた覚えもないが。
「…えーと、凌統殿に何かあるんではなくて。
凌統殿と一緒にいると体中の血の巡りが良くなる気がするんですよねー」
笑って返事をしたが、少しだけ怖くなった。
どこか知らないうちに改造されたのかもしれない。
暖をとるとかではなくて、不思議に思っていることをお見通し。
疑問を声に出さなくとも、というか、疑問に思っているという思考自体、言ってもないのに。
軍師ってそんな生き物なのか?人の思考を読む新人類なのか?
そんなものと戦っているということっていうのは、何となく気を違えているのではないか?
「あー…血が滾ってきたぜー?」
「どっかのバカと一緒にしないでください!」
「呼んだー?」
「呼んでないです!」
神出鬼没のような甘寧に驚かず反応を返す軍師をみて、
凌統はやっぱり、自分達全員が気を違えていると思った。
そうでもなければ乱世を生き抜くなど困難なのかもしれないが。
しかし相手の思考がわかるのに、何故陸遜は自身を好きかどうかを聞くのだろう。性なのか。